2012年01月31日
父というルーツ
年明けて一月も今日でラスト、「行く」1月の足跡を確かめる。
あれは旧正月前、姑にお願いされ名護に住む高名なユタに
屋敷の拝み、その他もろもろを伺いに行った時のこと、
景気の良さそうなお屋敷に住み、神の言霊のよりしろである女性は私にこう言った。
「あなたはお父さんの本家に感謝の気持ちを伝えて来なさい。」
その言葉を聞いた時、結婚してからというもの嫁ぎ先のことに懸命で
少々父方のご先祖さまへ気持ちが向いていない自分を省みた。
父は私の旧姓に婿入りしたいわゆる婿養子で、母の姓を継いでくれた人だ。
つまり私が幼い頃から手をあわせ親しんできたのは母方のご先祖さまで、
そういう意味では生まれてこのかた、父方のご先祖への信仰が不足していたかも知れない。
そんな私の心情を見通すかのように、ユタは
「あなたの本来の魂は父親のご先祖だよ。感謝して来なさい。」
畳み掛けるように言った。
早速、父方の祖母に連絡をとり両親のスケジュールを調整し、
旧正月前の晴れた週末に、父方祖母と両親・夫と私で本部にある父方本家に向かった。
沖縄の素朴な古民家に広い庭、いまは住む人の居なくなったその家を、
父の親戚が時折泊まりに来ては、手入れをしてくれている。
おそらく物心ついてから初めて見る本家仏壇には、父のルーツがぎっしり詰まっていた。
私は持参したビンシー(簡易拝み箱)に酒を注ぎ、ユタに習った通りの方法で
拝みらしき文言を唱えた。
本家の仏壇に合掌し、私はひたすら感謝する。
父が母と結ばれてくれたお陰でわたしが生まれ、わたしの妹弟が生まれ
母の家や姓が存続している。
"全ては父のお陰です、ありがとうございます。"
これほどの感謝の気持ちで自分の命のルーツに向き合ったのは、
人生で初めての経験だった。
ひととおりの拝みを終えた後、本家を管理している親戚に
沖縄の魔除けにあたる”水字貝(みずじがい)”を二つ頂き
縁起をかついで旧正月に玄関に飾った。
それから数日後のこと、知人から思いがけない依頼が入る。
それは父がかつて長年親しみ、叔父が師範をしている
「沖縄空手」
に関する仕事だった。
とても魅力的なプロジェクトに声をかけて頂いたことは嬉しかったのだが、
いまの私にはスケジュールがすこし厳しく、どうも出来そうにない。
口惜しい気持ちを感じながらも、ムリをしてもしょうがない・・・
相手の迷惑にならないよう、こちらの事情を伝えて一度お断りした。
すると知人は私のやりやすい形で再オファーしてくれたのだ・・・。
それが有り難くて自分の動ける範囲でこの仕事を引き受け、
いま、まさに父や叔父の足跡を確認している。
この神の計らいのような出来事に驚きながら、
そして再び「書ける」機会に巡り会えたことに感謝しながら、
自分のルーツに向き合っている。
多分、こういうことを「幸運」と呼ぶんじゃないだろうか。
そんな気さえしている。

Posted by umiunagi at 14:45│Comments(2)
│日々
この記事へのコメント
凄く良い体験をしたんだね。
Posted by ドルフィン at 2012年02月04日 08:29
ドルフィンさん
ありがとうございます。
いま、まさに産みの苦しみの途中です^^
ありがとうございます。
いま、まさに産みの苦しみの途中です^^
Posted by umiunai at 2012年02月05日 04:38